全国がん患者団体連合会(全がん連)

このたびの本庶佑先生のノーベル生理学・医学賞の受賞は、私たちがん患者や家族に大きな希望をもたらし得るものであり、がんの克服に向けた貴重な一歩となることが期待されています。一方で、その成果の一つである免疫チェックポイント阻害剤は現状では効果が期待できるがんの種類などは限られており、免疫チェックポイント阻害剤特有の副作用などもあることから、慎重に投与されることが必要な薬剤です。 本庶先生の研究をもとに開発された免疫チェックポイント阻害剤により、これまで治療法がないとされたがん患者さんの中に治療効果が現れていることは本当に喜ばしいことです。そうした効果を伝える報道を見聞きし、現在の治療法を中止して免疫チェックポイント阻害剤を使用すべきかと迷う患者さんやご家族が増えている現状があります。 しかし、有効性と安全性が確認され、免疫チェックポイント阻害剤が使用できる患者さんは限られていますし、適応となる患者さんの中でも効果は異なります。また、免疫チェックポイント阻害剤特有の副作用や重篤な副作用の報告もあり、現時点では、すべての患者さんにとっての「夢の薬」とはいえません。こうしたデメリットも含め正しい情報が提供されることが、いま何より重要と考えます。 特に報道機関のみなさまには、免疫チェックポイント阻害剤を含む免疫療法についての正しい情報を冷静に伝えていただくようお願いいたします。